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ろーどちゅうなの~

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1-03-06「全体講義その2」

あらすじ

「悪名高き雷晃政権の黎明だ」真理合宿2日目、地獄の全体講義の再来です。灘・読村政権で基礎とされたM教の姿が、ある政権の登場で豹変するらしいですよ。そんなガチ講義セカンドのシーズン1の18節です。

START

H30.4.26

Face_keiji

【啓史】

昨日の話を軽く復習してみよう。灘殿を中心として、黎明期の学園は当時を生き残ってきた。学園にとっては不利な状況が続いたが、建学の精神を見失わないよう細心の注意を払いながら、小さく、落ち着いて、M教に帰す人材を育てることを至上としたんだ。灘殿、読村殿、真田殿、二宮殿の政権下で最低限の地盤を固め、そこから矢張り小さな進化を追い求め彷徨っていたわけだ。

Face_keiji

【啓史】

しかし、この世は常に淘汰が機能している。生物次元において淘汰の基準となるのはたいてい、需要のないものから、だな。ぶっちゃけ灘殿の政権時から気付かれていたことではあるが、当時の人々からはあまり評価されない学園だったのさ。いや、それは今も変わんないな、あっはっは。

Face_hage

【謙一】

笑い事じゃないなぁ

Face_so

【奏】

いつだったかなぁ、委員会の関係で余所の人と話してて、「真理学園でーす」って云った瞬間の反応……

Face_so

【奏】

お互い触れはしなかったけど、アレ絶対見下されてたなぁ……

Face_fui

【譜已】

有名には、なってるかな……真理学園……

Face_hage

【謙一】

俺ほぼ全然聞いたことなかったけど……そういや編入先ここに絞った時「正気か!?」って職員室に合唱されたことあったっけなぁ

Face_so

【奏】

ソレは謙一パイセンの学力ポテンシャルと割に合ってなさすぎだったからじゃ

Face_hage

【謙一】

あ、なるほどそっちか

Face_hage

【謙一】

……ていうか、パイセンも要らないぞ?

Face_so

【奏】

んー……謙一くん……うーん……

Face_so

【奏】

なーんか、上手く嵌まらないんだよねー……

Face_so

【奏】

譜已ちゃんも昨日、徹夜する勢いでベッドの中で――

Face_so

【奏】

「謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん謙一くん――」

Face_so

【奏】

ってずっと練習してたんですよこのパイセン、努力に気付いてあげて

Face_hage

【謙一】

たった今お前がネタバレしたお陰で気付けたわ、ありがとう奏

Face_fui

【譜已】

あ、あわわわわわ――!!?(←赤面)

Face_hage

【謙一】

にしても譜已ちゃんの可愛さと健気さ、ホント一体どうなってんだ?

Face_hage

【謙一】

実行する気は更々無いけど、譜已ちゃんを報道してたら真理学園不人気問題だいぶ解決されると思うんだ

Face_so

【奏】

同じく実行する気は微塵も無いですけど、全くもって同意ー

Face_keiji

【啓史】

学園は常に、暗闇を彷徨うことを強いられていた。建学の精神……いわば灘刻丸の魂が真理学園の核である時点で、それはもう運命付けられた回路だったのさ。暫く真理学園は、低迷し続けた。二宮殿が召天されてからは特に、どうすべきか分からなかっただろう。黎明期を創ってきた4人全員が居なくなり、学園は本当の意味で魂を護る試練と立ち会った。ぶっちゃけ、勝算は無かったんだと思うね。B等学生募集が停止されるほど、学園は淘汰に屈する直前まで追いやられたんだ。

Face_keiji

【啓史】

だが、当時不治の病に冒されながらも踏み留まらせた栗田五代目学園長殿は、ある若者を教師採用した。それから約3年で……その若者を真理学園長として立てることを決断した。

Face_hage

【謙一】

……え?

 3年で……いきなり学園長に?

Face_keiji

【啓史】

その英断直後、栗田殿は召天されたが、彼の功績は偏にこれだろう。「風来坊」の貴堂雷晃が、学園のトップに就き……そこから真理学園は豹変した。覚醒したと云ってもいいかもしれないな。灘殿の意思を汲み取り、できる限り権力は分散させていたのを、彼は自分のもとに一点に集めた。理事長もC長もAB長も務め、全ての政治に直接手を下した。悪名高き雷晃政権の黎明だ。

Face_hage

【謙一】

昨日沙綾が云ってた雷晃様ってのがようやく出てきたか……

Face_fui

【譜已】

この学園で、有名な人を挙げようと思ったら多分、灘先生か雷晃先生で、揉めるんだと思います……

Face_saya

【沙綾】

学園ネットで非公式に票集められたことあるけど、その時は雷晃様の圧勝だったわねー。不良の多いここでは、その婆娑羅っぷりは憧憬に値するのかもね

Face_keiji

【啓史】

まぁ5年くらいはまだ大人しかったんだが、駁沼日和が更に就任してきてからは一番熾烈になった。3年間だ。そこから3年の間に、雷晃政権の全ては産み出されたと云っていい。実は駁沼さんと俺は同期なわけだが、いきなり雑用で奔りまくったなぁ……あのスタートダッシュが無けりゃ俺はもうちょっと楽な人生を送れていたのかもしれん。ただただ運が悪かったなぁ。

Face_hage

【謙一】

駁沼さんって?

Face_fui

【譜已】

駁沼日和先生は、雷晃先生と一緒に真理学園を、その……盛り上げた? 先生です……

Face_saya

【沙綾】

何か、陽(ひかり)の雷晃、陰(やみ)の日和、とか云われてるわね

Face_hage

【謙一】

何その表裏関係かっけえ

Face_fui

【譜已】

駁沼先生のことは、よく分からないみたいです……自分を出さない人、だったらしくて

 だからこそ陰と云われ……しかし確実に雷晃政権を引っ張った偉人の一人ってことになるのか。 んで…… 気になってるのは、その政権の内容だな……

Face_keiji

【啓史】

そんで3年かけてパワー溜めたら、そっからは凄かったよ、怒濤だ怒濤。AB共に男女共学に戻せたし、優海町から他の学校施設を逆に追い出したし、優海町との信頼関係を表面化して、領土を貰って人口問題も解決して。更に人を集める……いや、人を巻き込む為に森林化を始めた。

Face_keiji

【啓史】

皆の知ってる、この自然豊か過ぎる街の姿になっていくんだ。

Face_hage

【謙一】

翠さんみたいだな……

 いや、きっと翠さんよりも過激に推し進めた人だったのだろう。

 灘政権が大切にしてたらしい静けさが、そこにはもう見当たらなかった。

 殆ど真理学園は、別物となっていった。

Face_keiji

【啓史】

そして皆もお世話になってる、今の一般棟が建築されたタイミングで、病死した。早過ぎる昇天だったが、奔り回されていた俺らからすれば、ラッキーだったのかもしれない。

Face_keiji

【啓史】

何故かあの人が死んだのとほぼ同じタイミングで、駁沼さんも行方を眩ませた。結構捜索もしたんだけども……色々あってすぐに打ち切り、結局あの人の姿は二度と見られなくなっている。不思議とその現実を、当時を知る俺らは受け容れられた。

Face_hage

【謙一】

…………

 まさに、陽と陰、か。

 そんな文学的な事件実際に起こされても残される側は迷惑でしかないが、なかなか鋭さを持ったストーリーだな。

Face_hage

【謙一】

でも、それじゃまた暗黒時代に陥ったんじゃないか? いきなり学園を照らしてた中央集権たる光が消えたんだから

Face_fui

【譜已】

それが……

Face_so

【奏】

そうは、ならなかったんだよねぇ……

Face_keiji

【啓史】

雷晃政権が終わって……まぁ、すぐに次の政権が始まったわけだ。皆にとっては、こっからが具体的に大事なことになってくるんだろうなぁ。ま、あの頃嫌って程思い知らされてきたとは思うんだけども……

Face_keiji

【啓史】

それが――銘乃政権

Face_hage

【謙一】

ふぁっ!?

 い、いきなり――

 いきなり翠さん入ってきたーーー!?!?

Face_midori

【翠】

すやぁ

 しかし当の本人は今日もシリアスに耐えれず隅っこの敷き布団で熟眠中だ!!

Face_keiji

【啓史】

銘乃政権は現在進行中だから過去形のように扱えないんだけども……少なくともこれまで作ってきた功績は全て、雷晃政権で草案のまま溜め込まれていた政策だ。いわば後片付けをしてきた、と云うべきか。

Face_keiji

【啓史】

図書館棟を作り、空中歩廊棟を作り、職員棟が一般棟に組み込まれ、昨年度にはGACが地域共有の形を保ちながら完成された。体育委員を経験した皆さんには協力大変感謝してるよ。ああいう騒がしいことを、学園はずっとずーっと繰り返しながら、発展していったんだよ。

Face_hage

【謙一】

あの翠さんが後処理担当と云われるのか……事実なんだろうけど、何かしっくりこないな

 あの人自身が傍若無人なもんだから、凄く主体的に感じるんだけども。

Face_saya

【沙綾】

でも、あの学園長が作ってきた業績って、いわば雷晃様のお零れみたいなものよね

Face_saya

【沙綾】

そう考えたら、随分楽に汁を頂いてるだけって感じもしてくるわねー

Face_hage

【謙一】

それを娘の前で堂々と口にするお前に俺は戦慄を覚えざるをえないよ

Face_fui

【譜已】

あ、あはは……その、大丈夫です……慣れてる、から……

Face_so

【奏】

雷晃政権に負けず劣らず、翠さんもディスられてきてるからねー……

Face_so

【奏】

謙一パイセン知ってるー? 真理学園ってものすごくお外から嫌われてるんだよー

Face_hage

【謙一】

そもそも真理学園知らなかった俺が知ってるわけないだろ。まぁ、信じられない、なんてことは全然無いけどな

 世間から評価されていない、という淘汰の要因は変わっていないわけだ。 雷晃政権は、その状態を改善するのではなく、その淘汰を跳ね返す為の巨城を築き上げることに集中した。 だから、優海町と真理学園は不可分となった。 けれど外部からは益々嫌われた。MSB内部でも嫌われてるっていうんだから相当な孤独感だ。 ……だったら。

Face_hage

【謙一】

どうやって在校生を確保してるんだって話になるよな

Face_keiji

【啓史】

それは灘殿の時代から、解決している問題だよ管理職殿

 壇上から住吉啓史は降りてきていた。 気付けば講義は終了していたのだった。

Face_hage

【謙一】

やっべ、また怒られるパタンだぞ……

Face_so

【奏】

啓史さん、こんちはー!!

Face_keiji

【啓史】

相変わらず元気だねぇ君も。いや元気なのは君ら全員か

Face_keiji

【啓史】

今日もずっと喋り通してたねぇ。流石銘乃政権チルドレン

Face_hage

【謙一】

変な枠作って括らんといてください

Face_hage

【謙一】

……それで、解決してるってどういうことですか?

Face_keiji

【啓史】

寮制度さ。灘殿が作り上げた、最古にして最大の“布”概念

Face_keiji

【啓史】

家なき子っていうのは世界中何処にでも居るものだが、兎に角拾える範囲に居る子は見境無く拾ってね

Face_keiji

【啓史】

寮を……真理学園を家としたのさ

Face_hage

【謙一】

――それって

Face_keiji

【啓史】

真理学園は、赤字続きだ。それもジェットコースターの下り坂みたいに真っ赤だ。だけど、クローズを推し進めているうちに、灘殿の意図したことかは兎も角として……

Face_keiji

【啓史】

優海町との繋がりができた。雷晃政権はそこに着目して、優海町唯一無二の学園、そして政治場の座を確立させた

Face_keiji

【啓史】

だから優海町は真理学園を助けてくれる。一次寮生の最低限の生活費を作り、彼らはそれ故にクローズに徹する。一次寮生に地域性は不可欠であり、地域も彼らを地元民と認識して、この先卒業しても生きていけるよう支援する

Face_keiji

【啓史】

結果、家無き子も卒業し優海町を出て、何処かで生活を作れるようになる。灘殿の意図かが分からない結果物を、雷晃さんと日和さんは一滴残らず掬い取ったわけさ。歴史って多分こうやって創られていくんだなぁと思わされたよ

Face_so

【奏】

めちゃ画期的ですけど、まぁ強烈なんでブーイングも凄いよー

Face_so

【奏】

しかも灘政権むかしから始めてることなんで、根も深い

Face_fui

【譜已】

もう完全に地域一体のことだから、今更撤廃もできないだろうし……

Face_keiji

【啓史】

確かに、需要は一定数確保できている

Face_keiji

【啓史】

だけども淘汰の対象とみられることを、最早逃れる術は無い。自ら断ち切ったんだから

Face_keiji

【啓史】

学園が保てなくなる時は、灘殿が恐らく思い浮かべていたであろう平和――家なき子の居ない世界になった時、だろうな

Face_hage

【謙一】

凄え良いまとめ方に持って行きましたね、俺とんでもないとこ来ちゃったんだなぁやっぱり……

Face_keiji

【啓史】

ま、過去なんて関係無いわな。今を生きる若者に大事なのはやっぱり今

Face_keiji

【啓史】

大切なものがあるなら、それを大切にしてればいい。……君らの場合は、かなり政治的に立たされることにもなるだろうが

Face_keiji

【啓史】

ソレも含めて、楽しい青春の思い出としてくれや

 啓史は去って行った。

 その向かう先……未だグッスリ眠っている学園長の方角を、謙一は眺めていた。

Face_hage

【謙一】

…………

 俺たちは……俺は……。

 この真理学園において、何者、なんだろうな――

 最初から抱いてきた疑念。 それは依然真っ暗闇なものであるものの――

 確実に、謙一の中で大きく硬く、付きまとう質へと変化した。